式台の起源を紐解くと、室町時代から江戸時代にかけた独自の社会構造に行き着く。当時は、かごに乗った大名や貴族がそのまま屋敷内に乗り入れ、足を直接土面に着けることなく上がれるように作られた機能的かつ儀礼的なスペースであった。特に徳川家康が江戸幕府を開いて以降、武家屋敷の格式を示す象徴として建築様式が細かく規定され、日本建築の美学を体現する存在として発展を遂げていく。
当時の大工たちは、来訪者の身分に応じて高さを細かく設計し、土間から上り框へのスムーズな動線を演出した。時代を経て明治以降は一般住宅にも広がったが、昭和後期の洋風建築ブームによって一時的に姿を消しかけた。しかし、歴史の知恵が詰まったこの構造が、今日の住まいづくりで新たな息吹を吹き込まれている。