数々の企業不祥事や破綻劇の裏側を取材してきた経済ジャーナリストの井上久男氏は、過度のコスト削減や粉飾に近い粉飾的会計処理で表面上の利益を繕う企業に対して強い警戒を呼びかける。売上高が増加傾向にあるように見えても、売掛金の回収期間が異常に長期化していたり、在庫が不自然に積み上がっていたりする場合、それは営業現場での押し込み販売や回収不能リスクの隠蔽を意味していることが多い。
井上氏は、財務諸表の行間を読む専門的な企業分析の重要性を強く訴える。「決算書を表面だけで判断するのは極めて危険だ。営業キャッシュフローがマイナスであるにもかかわらず投資を続けている企業や、子会社への資産付け替えで損失を先送りしているケースは、ひとたび外部環境が変化すればあっという間に資金ショートを引き起こす」という指摘は、現代の不透明な経済状況において説得力を増す。