彼の凄みを象徴する代表作として、まず挙げねばならないのが映画『鬼滅の刃 無限列車編』の魘夢(えんむ)役だ。株式会社アニプレックスが手がける本作で、平川は夢を操る鬼の薄気味悪さと歪んだ恍惚感を、息遣いひとつで体現してみせた。「他人の不幸を見るのが好きだ」という破綻した倫理観を、あえて優しく囁くようなトーンで表現したことで、作品全体に色濃いダークファンタジーの影を落とすことに成功している。
一方で、『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』の花京院典明役で見せた演技は、真逆の輝きを放つ。孤高で理知的、しかし内に熱い正義感を秘めた高校生。エメラルドスプラッシュを放つ際の気迫と、最期に時計台へとメッセージを遺す場面の静かな執念。この二つの役柄を並べるだけで、彼の演技の振り幅がいかに破格であるかが分かる。