テレビ画面越しに見せる遠慮のない発言と、相手が誰であれ怯まない姿勢。彼女がバラエティ番組に登場するだけで視聴率は跳ね上がり、スタジオには独特の緊張感が走った。迎合を一切排したその立ち振る舞いは、当時の「おとなしい女性像」を求める世間に強烈なアンチテーゼを突きつける格好となった。
その反響を決定づけたのが、自らの信条と人生観を包み隠さず綴った著作『サッチーの言い分』の刊行だった。世間からの猛烈なバッシングに対して一歩も引かず、自らの言葉で自己を定義しようとしたこの一冊は、読者の間で凄まじい賛否両論を巻き起こした。叩かれてもなお胸を張るその態度は、一部の層から「稀代の悪役」と評される一方で、自分らしく生きる強さの表れとしても受け止められたのだ。