主役を食うほどの存在感を示しながらも、決して作品の調和を乱さない。そんなバイプレイヤーとしての長年の経験は、彼の監督作品における登場人物の造形に色濃く反映されている。彼の映画には、いわゆる「名もなき通行人」が存在しない。
画面の端に映る居酒屋の店員、バスを待つ老人、すれ違うサラリーマン。彼ら一人ひとりに人生の背景を感じさせる細やかな演出が施されている。世の中のメインストリームから少し外れた場所で生きる人々に向ける眼差しは、どこまでも温かく、そしてどこか哀愁を帯びている。それが観客に深い共感を呼ぶ理由だ。