この潮目の変化を象徴するのが、世界的な大ヒットを記録したNetflixオリジナルドラマ『忍びの家 House of Ninjas』だ。影を生きる忍びの苦悩と静謐な美意識を描いた本作において、主張しすぎない顔立ちが生み出す特有の雰囲気が絶賛を集めた。HBO Maxなどの国際的なプラットフォームが競って求めているのも、まさにこの「何色にも染まる表現力」に他ならない。
その先駆けとなったのが、坂口健太郎や綾野剛といった実力派たちだ。彼らが切り拓いた塩顔男子の系譜は、いまや単なる一過性のトレンドを超え、現代の映画産業における不可欠な演技スタイルとして定着した。素朴でありながら、光と影の当たり方ひとつで冷酷な殺し屋にも儚げなヒロインの相手役にも化ける。その圧倒的なカメレオン性が、世界中の監督たちを虜にしている。