櫻井海音のキャリアの原点はドラムにある。中学時代からスティックを握り、卓越したリズム感を武器にロックバンド「インナージャーニー」の結成メンバーとして活動。彼が刻むタイトでエモーショナルなビートは、音楽通の間ですぐさま話題となった。バンドが評価を集めるなかでも、父親の名前を武器にすることは一切なかった。
やがて表現の場は音楽から演技の世界へと広がっていく。バンド脱退という大きな決断を下した背景には、俳優という生業に全霊を傾ける覚悟があった。セリフの間合い、視線の動かし方、全身から漂う繊細な空気感。ドラムで培ったリズムとグルーヴは、そのまま彼の演技の骨格となり、若手実力派としての評価を確固たるものにしていった。