朝日放送テレビ(当時の朝日放送)が製作を手がけ、1962年にスタートした『てなもんや三度笠』は、まさに昭和テレビ番組が生んだ怪物コンテンツだった。藤田まこと演じる旅の若侍・あんかけの時次郎と、小柄な身体から響く声で存在感を放つ珍念役の白木みのる。絶妙な間合いで展開するドタバタ劇は、瞬く間に最高視聴率60%を超えるお茶の間の主役に躍り出た。
この大ヒットを陰で操っていたのが、稀代のヒットメーカーとして知られる脚本家・香川登志緒だ。香川の真骨頂は、単なるCM枠の挿入にとどまらず、物語のクライマックスに商品そのものを自然に組み込んだ点にある。主人公が自らの強さの秘密としてクラッカーを掲げる演出は、テレビ放送業界においてコンテンツとスポンサー広告が融合した最高の成功モデルとなった。