ここ数年、日本の医療現場や美容業界を席巻しているのが、GLP-1受容体作動薬をはじめとする画期的な肥満治療薬だ。かつては糖尿病治療に限定されていたこの薬が、今や「体重減少の切り札」として広く認知されている。だが、このブームは本当に人々を幸福にしたのだろうか。
安易な個人輸入や自由診療による乱用が社会問題化する一方で、医療アクセスにおける新たな格差も生まれている。薬に頼ることで一時的に体重を落とせても、服用を止めればリバウンドするリスクは極めて高い。私たちが問うべきは、薬による解決ではなく、なぜこれほどまでに社会が痩身を強要するのかという根本的な問いだ。