近年の首相たちと岸田氏を並べてみると、そのヴィジュアル戦略の違いがより鮮明になる。長期政権を築いた安倍晋三氏は約175センチと、岸田氏とほぼ同等だったが、胸を張った堂々たる姿勢で実寸以上に大きく見せる術に長けていた。続く菅義偉氏は約165センチと小柄で、それが逆に「叩き上げの苦労人」というキャラクターを補強していた。
そして現世代のリーダーたちと比較したとき、岸田氏の「標準的で癖のない体躯」は、過度な自己主張を避ける彼の政治スタイルそのものを体現していたようにも思える。スーツの着こなしにおいて、彼はあえて肩パッドを強調せず、ナチュラルなシルエットを好んだ。これもまた、計算された自己演出の一環だったのだろう。