地上から遥か高みに伸びる垂直空間は、次世代の空域ビジネスにおいても異例の価値を生み出し始めた。愛媛県や秋田県の旧製錬所跡地では、巨大タワーの頂部を物流ドローンの自動給電ポートへと改修する実証実験が佳境を迎えている。周囲に一切の遮蔽物が存在しない百数メートル上空は、無人航空機の中継・待機ポイントとして理想的なポジションだ。
加えて、外壁や内部構造には最新の超局所気象センサーと5G/6Gミリ波通信の基地局が網の目のように配置された。近年激甚化する線状降水帯やゲリラ豪雨の予兆を、高度別の風速・湿度データからリアルタイムで直接検知する。平時は物流と高速通信の要塞として都市を支え、災害時には救援ドローンの緊急出動拠点へと早変わりする。かつて地域社会に影を落とした建造物が、市民の生活防衛を担う司令塔へと変貌を遂げつつある。