名古屋の食を語る上で避けて通れないのが、創業者の情熱と試行錯誤の歴史だ。かつて戦後の屋台文化から出発し、味噌カツという唯一無二のジャンルを確立した鈴木義夫氏の功績は極めて大きい。とんかつに赤だし味噌をかけるという斬新な発想は、当時の常識を打ち破る挑戦であり、その精神は現在の職人たちにも脈々と受け継がれている。
一口に味噌カツや手羽先と言っても、店ごとに仕込みや揚げ時間、タレのブレンド率はまったく異なる。ラードの油でカラリと揚げた豚肉に、数ヶ月熟成させた八丁味噌ベースのタレを回しかける瞬間、立ち上る湯気とともに芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。一方、手羽先は二度揚げによって外はサクサク、中はジューシーな仕上がりを実現。この圧倒的なこだわりこそが、全国のグルメファンを虜にし続ける理由だ。