かつて日本の「鬼」を英語で説明する際、オーガ(Ogre)やデビル(Devil)、トロール(Troll)といった西洋のモンスターに例えるのが常套手段だった。しかし、ここ数年で世界のポップカルチャー環境は激変した。
世界的な大ヒットを記録した『鬼滅の刃』や、Netflixなどの動画配信プラットフォームを通じて日本のアニメが日常的に消費されるようになった現在、海外の若い世代を中心に「Oni」という言葉そのものが固有名詞として浸透しつつある。YouTubeのリアクション動画やファンコミュニティでは、角が生え虎のパンツを履いた存在が「Oni」としてそのまま認知されているケースも珍しくない。
だからこそ、相手の文化的リテラシーに応じた使い分けが求められる。ポップカルチャーに明るい相手であれば、「Throw beans to chase away the Oni!」とそのまま伝えたほうが熱量を持って伝わる場合がある。一方で、ビジネスシーンや伝統文化に関心のある年配層には、「Oni are mythical ogre-like creatures that represent misfortune or malice(鬼とは不運や悪意を象徴する、日本の伝承に登場する鬼のような存在)」と概念として補足する配慮が欠かせない。