劇団の歴史を塗り替えた名作『ベルサイユのばら』や『風と共に去りぬ』の時代、舞台裏では凄絶なドラマが繰り広げられていた。関係者の証言によれば、千波静は稽古場に誰よりも早く入り、最後まで残って役づくりに没頭していたという。衣装のひだ一つ、スポットライトの当たり方一つにまでこだわり抜く徹底したプロ意識があった。
とりわけ名作『ベルサイユのばら』の再演や関連公演の渦中において、彼女が見せた役へのアプローチは語り草だ。華やかな衣装の裏側で、激しい葛藤とプレッシャーに苛まれながらも、本番の幕が上がれば完璧な人物として舞台上に君臨する。その圧倒的な演技の裏には、睡眠時間を削って役と対話した知られざる苦闘が存在していた。