「阿武町4630万円誤送金事件」の裁判手続きは、山口地方裁判所において詳細な事実関係が審理された。法廷で明らかにされたのは、単なる個人の入力ミスや不注意だけで説明がつくような単純な構造ではなかったという点である。フロッピーディスクを用いた過渡期のデータ伝送や、二重チェック体制の形骸化など、組織内部に長年潜んでいた死角が露呈した。
審理の過程で浮き彫りになったのは、限られたマンパワーで煩雑な事務作業をこなさざるを得なかった当時の現場の切迫感だ。山口地方裁判所での証言内容は、特定の公務員個人の道義的責任を問うだけでは再発防止に至らないことを力強く物語っている。