本作の主人公・竈門炭治郎の人物像は、従来の「勝利と成長」を第一とする少年漫画のヒーロー像に新たな風を吹き込んだ。鬼に変貌した妹・禰豆子を人間に戻すという目的を抱きながら、敵である鬼の悲しい過去にも寄り添う深い慈愛の心。この独自の人間観が、過酷な「ダーク・ファンタジー」の世界線に救いを与えている。
血なまぐさい戦いの渦中でも失われない人間の尊厳や、家族の絆、命のバトンタッチといったテーマは、大人の読者の心をも強く揺さぶった。過剰な演出に頼らず、生と死に向き合うまっすぐなストーリー構成が、世代を超えた感動を生んだのだ。