漫画業界において、冨樫義博というクリエイターが提示するキャラクター造型は常に前衛的だ。『HUNTER×HUNTER』が築き上げた独自のダーク・ファンタジー世界観において、カルトの存在感はひときわ異彩を放っている。
伝統的な和装を纏った中性的な美少年というビジュアルデザインは、一見すると可憐でありながら、内側には冷血な殺意と深刻な精神的葛藤を秘める。単なる「可愛いキャラクター」という記号に収まらず、人間の業や家族の歪みを体現する立体的な人物として描かれているのだ。ステレオタイプな勧善懲悪を排し、個々の動機とエゴイズムが複雑に交錯する群像劇を描き出す冨樫の手腕は、現代の少年漫画における表現の限界を拡張し続けている。