源平の合戦後、敗残の平家一族が追手の目を逃れて潜んだとされる隠れ里。そこに脈々と受け継がれてきたのが平家落人伝説だ。武具を隠し、鯉のぼりを揚げず、鶏を飼わないという独自の風習が今も語り継がれている。かつて放送され反響を呼んだNHK大河ドラマ『平清盛』でも描かれた激動の時代。その末裔たちが辿り着いた安息の地こそが、この山深き湯西川であった。
宿の内部には、当時の落人たちの生活の知恵や思いを忍ばせる調度品がさりげなく配置されている。歴史の表舞台から消えた武士たちが何を想い、どのように厳しい冬を越したのか。展示された武具や古道具を眺めていると、物語の裏側に潜む人間模様が鮮やかに浮かび上がってくる。