生殖補助医療(ART)の技術的進歩は目覚ましい。体外受精(IVF)や顕微授精、受精卵の凍結保存技術、さらには着床前胚異数性検査(PGT-A)など、20世紀後半には想像もできなかった高度な医療が臨床現場で日常的に行われている。日本でも保険適用が拡大され、不妊に苦しむ多くのカップルに希望をもたらした。
技術の進化は、生殖可能年齢の境界線を押し広げてきた。しかし、技術的に「着床させることが可能であること」と「安全に出産・育児ができること」は全く別の問題だ。体外受精技術がいかに高度化しようとも、母体そのものの血管や臓器の老化を巻き戻すことはできない。生殖医療が高度化すればするほど、医療者は技術の万能感と生物学的制約の狭間で葛藤を強いられている。