なぜ犯罪者の言葉はこれほど高値で取引されるのか。背景には、大衆の覗き見趣味と結合したエンターテインメント業界のビジネスモデルがある。殺人犯の心理や未解決事件の裏側を描くコンテンツは、書籍や映画、テレビ番組において長年確実な視聴率と部数を稼ぐキラーコンテンツだった。
出版業界や映像制作会社は、渦中の被告や服役囚に「独占手記の出版権」や「人生の映像化権」を提示する。その対価として数十万ドルから数百万ドル規模の契約金が支払われる仕組みだ。近年爆発的な人気を誇るトゥルー・クライムというジャンルは、まさにこの欲望の市場構造の上に成立している。犯行の手口が詳細に語られ、惨劇がスリリングなドラマとして消費される過程で、加害者が一種のセレブリティへと昇華されてしまう危険性が常に付きまとっている。