山川豊を語る上で欠かせないのが、実兄である鳥羽一郎の存在だ。海の男を歌わせたら右に出る者はいない兄と、都会的な哀愁を漂わせる弟。対照的な持ち味を持つ兄弟だが、その絆の深さは業界内でも知れ渡っている。
さらに近年では、鳥羽一郎の次男であり山川の甥にあたる木村徹二が新世代の旗手として台頭。一族の音楽的才能が次世代へと受け継がれている。この演歌名門一家が集う場でも、山川の妻は常に気配りを絶やさず、親族同士の結びつきを陰から支えてきた。
山川の病状が深刻だった時期、兄の鳥羽も言葉少なに弟を案じていたが、義妹が献身的に弟を支える姿を見て「あいつには最高の相棒がついている」と全幅の信頼を寄せていたという。家族の分厚い支えがあったからこそ、山川は孤独な闘病に打ち勝つことができた。