国税庁は近年、後日調査における各種控除の追跡確認を格段に強化している。もし税務署から「過去の医療費控除の根拠資料を提示してください」とお尋ねの通知が届いた際、すでに書類を処分していて提出できなければどうなるか。答えは明瞭だ。対象となる医療費控除の適用がすべて否認されることになる。
控除が否認されれば、本来支払うべきだった所得税および住民税の本税が再計算され、追徴課税(本税の追加徴収)が発生する。それだけに留まらない。申告漏れに対するペナルティとして過少申告加算税が課されるほか、納付が遅れた日数に応じた延滞税まで上乗せされるリスクがある。国税庁長官による行政指導の観点からも、申告書類の自律的な保存と証拠能力の維持は納税者の自己責任とみなされるため、「知らなかった」「捨ててしまった」という言い訳は一切通用しない。