彼女のキャリアを振り返る上で欠かせないのが、松竹時代の活躍だ。スクリーンのなかで魅せた繊細な表情変化と澄んだ瞳は、当時の昭和映画界に新鮮な衝撃を与えた。
とりわけ1976年に公開された映画『凍河』での熱演は、今なお語り継がれる名作として高い評価を得ている。精神医療の現場を舞台にした重厚なストーリーのなかで、彼女が演じたヒロインの切なくも力強い存在感は、多くの観客の心を捉えて離さなかった。人気絶頂期に第一線を退く決断をした背景には、自分の人生と家族を何よりも大切にしたいという一貫した美学があったとされる。