日本のエンターテインメント産業において、髭の有無を完璧にコントロールし、役柄に圧倒的な深みを与えている代表格が竹野内豊だ。洗練されたスーツ姿に漂うダンディな髭は、彼の代名詞とも言える。しかし、映画やドラマの役柄に応じてふっと髭を落としたとき、そこに現れる少年のような澄んだ表情のギャップに、多くの視聴者が惹きつけられてきた。
一方で、表現者として劇的な変化を魅せるのが山田孝之である。Netflixの世界的大ヒット作『全裸監督』で見せた重厚で野心に溢れるビジュアルは、緻密に作られた髭の造形なしには語れない。彼が魅せる泥臭くも愛おしいヒューマンドラマの主人公たちは、髭というフィルターを通して人間の欲望や哀愁をリアルに描き出している。海外のHBOが誇る名作ドラマ群の俳優陣と同じく、彼らもまた口元の造形をスクリーン上の重要な言語として使いこなしているのだ。