順風満帆に見えた新婚生活の裏で、夫婦を最大の試練が襲う。中井美穂が2002年、原因不明の激しい腹痛に見舞われ、急性腹膜炎を発症したのだ。緊急手術を受け、一時は生死の境をさまようほどの重篤な状態に陥った。さらに腸閉塞を併発し、人工肛門(ストーマ)を造設して約1年間にわたる壮絶な療養生活を余儀なくされる。
当時、現役バリバリの選手会長として球界再編問題の矢面に立っていた古田は、どれほど多忙であっても病院へ足を運び、妻の背中をさすり続けた。「自分がしっかりしなければ」と気丈に振る舞う古田の存在が、絶望の淵にいた中井をどれほど救ったかは計り知れない。病気を隠さず、後に自らの言葉で公表した中井の勇気と、それを黙って支え切った夫の献身は、今なお語り継がれる絆の証拠である。