この山が持つ魅力は、過酷な気象条件の先にある圧倒的な歴史と景観に他ならない。奈良時代末期、日光開山の祖である勝道上人によって崇めて以来、修験道の霊峰として長い信仰の歴史を刻んできた。火山活動が生み出した荒々しい岩場と、エメラルドグリーンに輝く五色沼の対比は美しく、訪れる者の心を捉えて離さない。
昭和の文豪であり登山家の深田久弥もまた、その気品ある山容と豊富な高山植物に感銘を受け、自著『日本百名山』の一座に選定した。初夏にはシラネアオイが咲き誇り、秋には見事な紅葉が山肌を染める。厳しくも豊かな自然が、時代を超えて人々を引き寄せ続けている。