1964年、名建築家・前川國男の設計によって誕生した紀伊國屋ホール。本屋のビルの中に本格的な劇場を作るという当時としては画期的な試みは、瞬く間に文化人や演劇青年の溜まり場となった。劇場が設立した「紀伊國屋演劇賞」は、現在に至るまで日本の演劇界における最高峰の栄誉の一つとして数えられ、数多の劇団や才能を世に送り出す原動力となってきた。
時代が移り変わっても、客席数418席という絶妙なスケール感は変わらない。舞台上の役者の吐息や微細な表情の変化までが後方席に届く設計は、演劇本来の生々しさを過不足なく客席へ伝達する。文字通り、新宿のカルチャーを牽引してきた「聖地」の名に恥じない歴史の重みがここにはある。